「原発災害以降のメディアのあり方を考える」開催趣旨

連続市民講座
「原発災害以降のメディアのあり方を考える 
~広く大きな問題を、互いに語り合えるようになるために~」

今回の原発事故とそれに続く報道の流れは、この国の歪みを多くの人 に改めて認識させるに十分でした。政府と官僚組織、あるいは東電の対応もさることながら、情報を伝えるマスメディアの立居振舞には、果たして人命を優先さ せているのかと、疑念を抱かざるを得ない場面も多々あった(ある)と思います。

「直ちに健康に影響を及ぼすものではない」という「官」の見解を、業界御用達の専門家がマスコミを通して空虚に追認し続ける中、市民は切実かつ自己防衛的 に、放射能汚染の正確なデータを求めてネットを彷徨いました。そして事故から2ヶ月過ぎた今になって、次々に隠されていた情報が明らかになっています。多 くの人が「なぜ今頃...」と無念の怒りを抱いているのではないでしょうか。

一方、ネットには有益な情報も数多くありましたが、場所によって情報の質が玉石混淆だったのも事実のようです。流言飛語が出回りやすいとの批判に対して は、それはネットだけの問題ではないと反論できますが、いずれにせよ怪情報を見分け拡がりを遮断する力を、皆が付ける必要も確かにあります。(これはマス コミの情報に対してもですが。)

このように考えてみると、日本に於いては、1「大本営」の翼賛報道に喩えて批判されるマスメディア構造の問題点が、記者会見のあり方ひとつ取っても未だ十 分改善していない。と同時に、2フリーランス記者や市民が作った新たな情報流通が、可能性の芽を膨らませながらも(これまた)質量ともに未だ十分には育っ ていない。という、少なくとも2つの大きなメディア問題があると言わざるを得ません。
振 り返れば、エネルギー政策の歴史を眺めても、多様な意見の存在を認めながら、正確な情報を共有した上で、建設的に議論を交わしていける言論空間を、結局我 々は持つことができなかったし、未だできていないと、反省されるのではないでしょうか。そのような広く大きなテーマは、他にも医療・薬害・環境などの分野 があります。

そのように、広く議論を展開するための”公共圏”と呼ぶにふさわしい場所を作ること、また、その基盤となる多様な”社会情報”の流通のためにこれから何が 必要か? 今回の企画では、個々のイシューについて学びながら、情報の共有と流れの問題点についてもディスカッションする場を設けたいと思います。

各回ごとに、メディア活動の実践家や、”公共圏”に関わる問題についての識者をお呼びして、市民と語り合う場所を作りたいと思います。多くの市民のご参加を呼びかけます。

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第1回:7月14日
「ネットに頼らない市民メディア―カフェ放送『てれれ』の意義」
下之坊修子さん
(自主作成ドキュメンタリー作品の上映継続、大阪在住)

第2回:9月3日
「原発事故報道を例にマスコミの動きを検証する(仮題)」
小倉志郎さん
(元原子炉設計技師、内部被曝の危険性について啓発活動、横浜在住)
ジャーナリスト
(交渉中)

第3回:11-12月
「医療情報チェックと医療界(仮題)」

第4回:1-3月
「薬害情報はどう伝えられたか(仮題)」

第5回:2-3月
「地球温暖化言説の功罪(仮題)」

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主催:
●「市民メディアによる公共圏形成と社会情報の提供に関わるプロジェクト」
実行委員会
●札幌学院大学(SGU)社会情報学部
http://www.sgu.ac.jp/soc/index.htm
●ATTIC
http://www.a-yaneura.com/

協力:
●独立メディアアソシエーション
http://imc-sapporo.blogspot.com/